We Won't Forget You
東日本大震災を覚えて
◆◇◆◇◆◇ We Won’t Forget You ◆◇◆◇◆◇
毎年 3月11日が巡る都度、皆様も様々な思いにひたるかもしれません。直接の被災者ではないけれど、遠くから故郷を案じ辛い思いをした経験はそれなりに強く残っています。
あの日、日本からの恐ろしい光景を見たのは、早朝から していた介護の仕事先でした。訪問先でテレビの画面に映る津波をみて動揺しながらも、時間に追われる大切な介護の仕事をやり遂げることに専念しました。本当は心の中が震えて家族や友人を案じていました。携帯連絡が一時的に家族と繋がったものの、その後は通信機能がダウンしました。それでも何とかネットを通してハワイの家族経由で再度連絡が取れたことは感謝でした。
その後すぐに、St Martin's 教会周辺の日本人のお母さん達のグループがいち早く動き、チャリティコンサートをしたいとの要望を教会の司祭経由で聞き、その協賛という形で関わりました。二週間余り、続々と入ってくる日本からのニュースに不安にかられながらも、お互い仕事や家事をやりくりしながら励まし合い、準備をしました。3月29日に有志のミュージシャンの篤い思いも加わった素晴らしいコンサートに、教会には立ち見ができる程の人々が集まりました。その前後、教会のニック司祭の呼びかけもあって、最終的には1万ポンド以上、日赤を通して募金を送りました。
この準備期間中に、日本語英国教会の定例礼拝があり、その報告として遠藤さんが次のように寄稿しています。「(日本語英国教会のメンバーで)宮城県とロンドンを行き来していたTさん、東京で引っ越しの荷ほどきの最中に地震にあったYさんはじめ、それぞれ無事を確認出来て嬉しかったのと同時に、ご親族が亡くなられたり、家が全壊してしまって避難中、という友人の友人にどこへ行っても必ず出会う程、この被害の大きさを身近に感じさせられました。」
2011年のウェストミンスターアビィでの追悼礼拝にも関わったことで現地の様子を知りたく、個人として日本聖公会東北教区による支援活動の案内で最初の被災地を訪問しましたのが2012年でした。その訪問中、小名浜の仮設住宅の方々と寒い中桜を見に行ったこと、閖上地区にあったお寺の残骸の前に遺骨収集の箱を見た経験が心深く残っています。その最初の被災地訪問中に会った方々を心の内に抱いて浮かんだ言葉が「We Won’t Forget You」でした。直接援助できないが、覚えて祈ることは私達にできることではないか。
ロンドンの追悼で人工の桜の木に掲げる桜の花びらは、2016年に一つ一つ切って作成したものです。その後毎年使うごとに、補足したものもありますが、被災地へ思いを馳せながら祈りを込めて作成したものなので、St Margaret's Westminster Abbeyでの追悼のヴィジルにて祈りのシンボル掲げながら、日本語英国教会並びに有志の方々のご協力とご支援を得ながら一緒に祈りの時をもつことができ、感謝しております。私達それぞれの思いと祈りそして復興への願いが被災に遭われた方々へ届き、少しでも 慰めと励ましになるように続けて ご一緒に祈ることができますよう。
ジョンソン友紀
以下 写真家冨岡秀さん撮影